3年目の施工管理者が語る仕事の魅力と挑戦
建設プロジェクトの最前線で指揮を執る「施工管理」。その仕事内容は多岐にわたり、責任も大きいですが、他では味わえない大きな魅力とやりがいに満ちています。
今回は、入社3年目の施工管理技士である須藤さんに、この仕事の奥深い魅力について、インタビュアーの佐藤 ゆりがお話を伺いました。
3年目の視点から見た施工管理のリアルな魅力と、そこに至るまでの道のり、そしてこれからの展望について伺ってきました。

これまでの道のり
—須藤さん、本日はお忙しい中ありがとうございます!入社3年目とのことですが、これまでのキャリアについてお聞かせいただけますでしょうか?
須藤: こちらこそ、よろしくお願いいたします。私が施工管理の仕事に興味を持ったのは、実際に建物をゼロから作り上げていく過程に魅力を感じ、社会に貢献できる仕事だと考えました。
現在の建設会社に入社し、最初の1年間は先輩社員の指導の下、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で実務を学びました。
新卒として入社した場合、まずは上級管理職のサポートからキャリアをスタートすることが一般的です。具体的には、予算計画、スケジュール調整、プロジェクトの組織化などの業務を補助しました。また、現場での作業の検査、書類の管理、会議の調整、図面の確認といった、より実務的な業務も経験しました。
2年目からは、比較的小規模なプロジェクトを部分的に担当させていただく機会も増え、徐々に責任のある仕事を任されるようになりました。
3年目となる現在は、より規模の大きなプロジェクトの一部分を、先輩社員の監督の下で担当しています。このように段階的にステップアップすることで、着実に知識と経験を積み重ねることができていると感じています。

日々の現実
—入社3年目の施工管理者として、普段はどのような業務を担当されているのでしょうか?具体的なプロジェクト例と共にご説明いただけますか?
須藤: 私の主な業務は、担当するプロジェクトにおける工程管理、品質管理、安全管理、原価管理です。具体的には、工事の進捗状況を把握し、スケジュール通りに進むように調整したり、図面や仕様書に基づいて工事の品質をチェックしたりします。また、現場の安全確保のための対策を講じたり、予算内で工事を完了させるためにコスト管理を行ったりすることも重要な業務です。
最近では、中規模マンションの新築工事に携わっています。このプロジェクトでは、私は主に躯体工事と呼ばれる建物の骨組みを作る工程を担当しています。具体的には、鉄筋や型枠の配置が図面通りに行われているかを確認したり、コンクリートの打設状況を監督したりしています。また、協力会社の職人さんたちと密にコミュニケーションを取りながら、工事の進捗や品質に関する情報を共有し、問題があれば迅速に対応するように努めています。
入社3年目の施工管理者は、計画、調整、予算管理、そして最初から最後まで建設プロジェクトを監督するなど、幅広い責任を担うことが一般的です。
これには、コストの見積もりや作業日程の作成、契約や技術情報の解釈と説明、建築家やエンジニアとの協力、下請け業者の選定と活動の調整、プロジェクトの進捗と予算に関する報告、遅延や緊急事態への対応、建築基準法などの法的要件の遵守などが含まれます。

施工管理の魅力(3年目の視点)
—須藤さんが思う、施工管理の魅力ってなんでしょうか?
須藤: そうですね、「ものづくりの達成感」と「チームワーク」です。
「ものづくりの達成感」については、本当にその通りだと思います。何もない場所に基礎が築かれ、徐々に建物が形になっていく様子を間近で見られるのは、この仕事ならではの醍醐味です。自分が担当した部分が、最終的に人々の生活を支える建物の一部となることに、大きな喜びを感じます。
例えば、現在担当しているマンションの躯体工事では、鉄筋が組み上がり、型枠が外された時に、図面でしか見ていなかったものが目の前に現れた時の感動は忘れられません。
まだ完成には至っていませんが、この建物が完成し、多くの人がここで生活を始めることを想像すると、今からワクワクします。初期段階から完成までを見届けることができるのは、本当に感動的です。完成した建物がその後何十年も地図に残り、街の一部として人々の暮らしに溶け込んでいくことは、大きな喜びにつながります。
次に「チームワーク」ですが、一つの建物を完成させるためには、本当に多くの人が関わります。
設計者、構造家、設備業者、そして様々な専門技術を持つ協力会社の職人さんたちと、それぞれの専門知識や技術を持ち寄り、協力しながら一つの目標に向かっていく過程は、非常に刺激的です。
現場では、長年の経験を持つ職人さんから直接指導を受けることも多く、教科書だけでは学べない貴重な知識や技術を習得することができます。
時には意見が衝突することもありますが、お互いの立場を理解し、より良いものづくりを目指して議論することで、最終的に素晴らしい成果を出すことができると信じています。円滑なコミュニケーションはプロジェクトの成功に不可欠であり、良好な人間関係を築くことも大切だと感じています。

学習と連携
—多くのプロフェッショナルと協働する中で、どのようなことを学び、どのように成長してきたと感じていますか?
須藤: 施工管理の仕事は、本当に多くの専門家と協力して進めていくものだと実感しています。
設計士の方々からは、建物のデザインや意図、構造的な考え方を学びました。現場で疑問に思ったことや、施工上の課題について質問すると、丁寧に説明してくださり、理解を深めることができました。
構造設計者の方々からは、建物の安全性や耐久性に関する知識を学びました。特に、地震や台風などの自然災害に対する備えについて、具体的な設計思想を教えていただいたことは、非常に勉強になりました。
設備業者の方々からは、電気、空調、給排水といった建物の機能に関わる専門知識を学びました。これらの設備がどのように建物に組み込まれ、どのように連携して機能するのかを理解することは、施工管理者として非常に重要です。
協力会社の職人さんたちは、長年の経験に裏打ちされた高い技術と知識を持っています。彼らから直接指導を受けることで、教科書だけでは学べない実践的な技術や、現場での工夫、段取りの重要性を学ぶことができました。
様々な専門家と協働する中で、最も重要なのはコミュニケーション能力だと痛感しました。それぞれの専門分野の知識や視点が異なるため、目的を共有し、円滑に連携するためには、丁寧な説明と相手の意見を尊重する姿勢が不可欠です。また、積極的に質問することで、自分の知識不足を補い、理解を深めるように努めてきました。
このように、多様なプロフェッショナルとの協働を通じて、専門知識だけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力も大きく成長できたと感じています。信頼に基づいた良好な協力関係を築くことは、プロジェクトの成功と自身のキャリアアップにとって非常に重要です。

今後の展望
—入社3年目を迎え、施工管理の仕事におけるキャリアパスについて、どのように考えていますか?将来的な目標があれば教えてください。
須藤: 現在はまだ先輩社員の指導の下で業務を行っていますが、将来的にはより大規模なプロジェクトを自分の裁量で管理できるようになりたいと考えています。そのためには、さらに専門知識や技術を深める必要があると感じています。
具体的には、一級建築士の資格取得を目指して勉強を続けています。資格取得は、自身の知識と能力を証明するだけでなく、より責任のある仕事を任されるためのステップだと考えています。
また、特定の分野に特化した専門性を高めていきたいという思いもあります。例えば、環境に配慮したサステナブル建築や、歴史的建造物の保存・改修など、社会的なニーズが高まっている分野に貢献できるようになりたいです。そのためにも、日々の業務の中で積極的に新しい知識や技術を吸収し、関連するセミナーや研修にも積極的に参加していきたいと考えています。
将来的には、プロジェクトマネージャーとして、プロジェクト全体の計画から実行、完了までを統括できるようになることが目標です。そのためには、技術的な知識だけでなく、リーダーシップやマネジメント能力も磨いていく必要があると感じています。日々の業務を通して、先輩社員の働きぶりを参考にしながら、これらの能力を習得していきたいと考えています。
入社3年目の段階では、長期的なキャリアを見据え、成長と専門性の向上を目指すことが重要だと考えています。
経験からのアドバイス
—最後に、施工管理の仕事に関心を持つ人に向けて、3年目の経験を踏まえ、どのようなアドバイスやメッセージを送りたいですか?
須藤: 施工管理の仕事は、決して楽な仕事ではありません。責任も大きく、時には厳しい状況に直面することもあります。しかし、その分、完成した時の達成感は非常に大きく、社会に貢献しているという実感を強く得られる仕事です。
もし、ものづくりが好きで、チームで何かを成し遂げたい、社会の役に立ちたい、そして自分自身も成長したいという強い思いを持っているなら、ぜひ挑戦してみてほしいと思います。
この仕事で成功するためには、建築に関する基礎知識はもちろんのこと、コミュニケーション能力、問題解決能力、そして何よりも学ぶ意欲が大切です。現場では、経験豊富な職人さんや先輩社員から多くのことを学ぶことができます。積極的に質問し、教えを請う姿勢が重要です。また、常に新しい技術や知識を吸収しようとする向上心も不可欠です。
最初から全てを完璧にこなすことは難しいと思いますが、日々の業務に真摯に取り組み、一つ一つの経験から学びを得ていくことで、着実に成長できるはずです。大変なこともありますが、それを乗り越えた時の喜びは格別です。ぜひ、この魅力ある仕事に飛び込んできて、一緒に社会を支えるものづくりに貢献しましょう。
経験豊富な先輩から学ぶこと、現場での実践的な経験を積むこと、そして常に新しい知識を吸収する意欲を持つことが、この分野で成功するための鍵となります。